WordPressプラグインの脆弱性で誰でも管理者に!? CVE-2025-14533を徹底解説

今回は、WordPressのプラグインで発見された非常に深刻な脆弱性について、わかりやすく解説していきます。
「脆弱性」と聞くと難しそうに感じるかもしれませんが、みなさんが運営しているサイトや、これから作るサイトにも関係する重要な話です。

なぜこの脆弱性が危険なのか?

例えば、運営しているECサイトに、誰でも勝手に「管理者」になれてしまう裏口があったとしたら…?

  • 商品情報を勝手に変更される
  • 顧客情報を盗まれる
  • サイト全体を乗っ取られる

今回紹介する脆弱性は、まさにこのような状況を引き起こす可能性があるものです。しかも、ログイン不要です。

1. どんなインシデント(事件)か

対象となったシステムと情報資産

影響を受けるシステム:

  • WordPressというCMS(コンテンツ管理システム)
  • 具体的には「Advanced Custom Fields: Extended」というプラグイン
  • バージョン0.9.2.1以前のすべてのバージョンが対象

狙われる情報資産:

  • Webサイトの管理者権限
  • サイト全体のデータ(顧客情報、商品情報など)
  • システム全体の制御権

原因・攻撃手法・脆弱性の詳細

簡単に言うと:

このプラグインには、ユーザー登録時に「私は管理者です」と自分で宣言できてしまう欠陥がありました。

もう少し詳しく:

通常、Webサイトでは以下のような「役割(ロール)」が設定されています

  • 一般ユーザー → 記事を読むだけ
  • 投稿者 → 記事を書ける
  • 編集者 → 他人の記事も編集できる
  • 管理者 → すべての操作ができる

本来、新規登録したユーザーは「一般ユーザー」として登録されるべきです。しかし、この脆弱性では…

  1. ユーザー登録フォームに「role(役割)」という項目がある
  2. 攻撃者が「role=administrator(管理者)」と指定して登録
  3. システムがそれをチェックせずに受け入れてしまう
  4. 結果:攻撃者が管理者権限を取得

専門用語で言うと:

  • 脆弱性の種類: 不適切な権限管理(CWE-269)
  • 問題の箇所: insert_user関数がロールを適切に制限していない
  • 悪用条件: カスタムフィールドに「role」がマッピングされている場合

EC-CUBEで例えるなら

EC-CUBEを使ったECサイトで考えてみると…

通常の会員登録:

  1. お客様が「会員登録」ボタンを押す
  2. → 「一般会員」として登録される
  3. → 商品を購入できる

この脆弱性がある場合:

  1. 悪意のある人が会員登録時に細工
  2. → 「管理者」として登録される
  3. → 商品価格の変更、顧客情報の閲覧、サイトの改ざんが可能に

2. どんなシステムが影響を受けるか

影響を受けるシステムの詳細

項目詳細
プラグイン名Advanced Custom Fields: Extended
影響バージョン0.9.2.1以前のすべてのバージョン
プラットフォームWordPress CMS
修正バージョン0.9.2.2以降

自分のサイトは大丈夫か、チェック方法

以下の条件すべてに当てはまる場合、あなたのサイトも危険です

  1. ✅ WordPressを使っている
  2. ✅ Advanced Custom Fields: Extendedプラグインをインストールしている
  3. ✅ プラグインのバージョンが0.9.2.1以前
  4. ✅ ユーザー登録機能が有効になっている
  5. ✅ カスタムフィールドに「role」がマッピングされている

確認方法:

WordPress管理画面 → プラグイン → インストール済みプラグイン
→ Advanced Custom Fields: Extended のバージョンを確認

3. どんな対策をすればいいのか

今すぐやるべきこと(即時対応)

ステップ1:プラグインを最新版にアップデート

  1. WordPress管理画面にログイン
  2. 「プラグイン」→「インストール済みプラグイン」を開く
  3. Advanced Custom Fields: Extended を探す
  4. 「今すぐ更新」をクリック
  5. バージョンが0.9.2.2以降になったことを確認

ステップ2:不正なアカウントがないか確認

攻撃者がすでに管理者アカウントを作成している可能性があります。

  1. WordPress管理画面 → ユーザー → ユーザー一覧
  2. 「管理者」権限のユーザーをすべて確認
  3. 見覚えのないアカウントがあれば即座に削除
  4. 最近作成されたアカウントを重点的にチェック

チェックポイント:

  • ユーザー名が不自然(ランダムな文字列など)
  • 登録日が最近
  • メールアドレスが怪しい

ステップ3:一時的な緩和策(すぐに更新できない場合)

どうしても今すぐ更新できない場合は

オプション1:プラグインを一時的に無効化

プラグイン → インストール済みプラグイン
→ Advanced Custom Fields: Extended → 無効化

⚠️ 注意:サイトの機能に影響が出る可能性があります

オプション2:ユーザー登録を一時的に無効化

設定 → 一般 → 「だれでもユーザー登録ができるようにする」のチェックを外す

4. この脆弱性でできてしまうこと

攻撃シナリオ:ステップバイステップ

実際に攻撃者がどのように悪用するのか見ていきましょう

ステップ1:偵察(情報収集)

  1. 対象サイトがWordPressを使っているか確認
  2. 使用しているプラグインを特定
  3. 脆弱なバージョンかどうか確認
  4. ユーザー登録機能が有効か確認

ステップ2:攻撃の実行

  1. サイトのユーザー登録ページにアクセス
  2. 通常の登録フォームに入力
  3. 裏で「role=administrator」というパラメータを追加
  4. 登録ボタンをクリック

具体的なイメージ:

<!-- 通常の登録フォーム -->
<form action="/register" method="POST">
  <input name="username" value="attacker">
  <input name="email" value="bad@example.com">
  <input name="password" value="password123">
  <button type="submit">登録</button>
</form>

<!-- 攻撃者が細工したフォーム -->
<form action="/register" method="POST">
  <input name="username" value="attacker">
  <input name="email" value="bad@example.com">
  <input name="password" value="password123">
  <input name="role" value="administrator"> ← これを追加!
  <button type="submit">登録</button>
</form>

ステップ3:管理者権限の取得

結果:

  • ✅ 攻撃者のアカウントが「管理者」として作成される
  • ✅ ログインすると管理画面にフルアクセス可能

ステップ4:サイトの乗っ取り

管理者権限を取得した攻撃者ができること:

1. データの窃取(機密性の侵害)

  • 顧客情報(名前、住所、メールアドレス)の閲覧・ダウンロード
  • 注文履歴の取得
  • クレジットカード情報(保存されている場合)
  • 管理者のメールアドレスやパスワードハッシュ

2. データの改ざん(完全性の侵害)

  • 商品価格を0円に変更
  • 商品説明に悪意のあるリンクを挿入
  • 偽の商品ページを作成
  • 既存の記事やページの内容を書き換え

3. サイトの破壊(可用性の侵害)

  • すべてのコンテンツを削除
  • サイトを停止させる
  • 他のユーザーアカウントを削除

4. さらなる攻撃の準備

  • バックドア(裏口)の設置
  • 悪意のあるプラグインのインストール
  • 他のサイトへの攻撃の踏み台にする

この脆弱性は、セキュリティの世界で使われる「CVSS」という評価基準で9.8点(10点満点中)という、ほぼ最高レベルの危険度です。

WordPressを運用している方は、すぐに確認してしっかり対策を行いましょう。